1.19 D次元の超立方体

§1 球と超立方体の体積の比

半径\(a\)の球の体積は、「1-18 D次元の単位球の表面積と体積」より

\(
\begin{eqnarray}
V_D = \frac{S_D}{D}a^D = \frac{2\pi^{D/2}}{D\Gamma(D/2)}a^D
\end{eqnarray}
\)

一辺\(2a\)のD次元の超立方体の体積は、\((2a)^D\)。
したがって、球の体積と超立方体の体積の比は

\(
\begin{eqnarray}
\frac{球の体積}{超立方体の体積} = \frac{\color{red}{2}\pi^{D/2}\color{red}{a^D}}{D\Gamma(D/2)} \times \frac{1}{\color{red}{(2a)^D}}
= \frac{\pi^{D/2}}{D2^{D-1}\Gamma(D/2)}
\end{eqnarray}
\)

この比の\(D \to \infty\)の極限をスターリングのガンマ関数の近似を使って求める。
\(\Gamma(x+1) \simeq (2\pi)^{1/2}e^{-x}x^{x+1/2}\) であるから、\(x+1=D/2\)と置くと、

\(
\begin{eqnarray}
\frac{\pi^{D/2}}{D2^{D-1}\Gamma(D/2)} &=& \frac{\pi^{D/2}}{D2^{D-1}}\frac{e^{\frac{D-2}{2}}2^{\frac{D-1}{2}}}{(2\pi)^{1/2}(D-2)^{\frac{b-1}{2}}} \\
&=& \frac{\pi^{\frac{D-1}{2}}e^{\frac{D-2}{2}}}{2^{D/2}D(D-2)^{\frac{D-1}{2}}} \\
&=& \frac{1}{2^{D/2}D\sqrt{e}}\left(\sqrt{\frac{\pi e}{D-2}}\right)^{D-1} \\
&=& \frac{1}{2^{D/2}D\sqrt{e}\left(\sqrt{\frac{D-2}{\pi e}}\right)^{D-1}} \\
\end{eqnarray}
\)

\(\frac{D-2}{\pi e}\) は \(D \to \infty\) の時には1より大きくなることに留意すると、分母は\(D \to \infty\)で\(\infty\)になる。
したがって、全体としては0に収束する。

§2 超立方体の頂点までの距離

一辺\(2a\)のD次元の超立方体の中心から側面までの距離は、\(a\)。
中心から1つの頂点、例えば、\((a, a, \cdots, a)\) までの距離は、

\(
\begin{eqnarray}
\sqrt{a^2+a^2+ \cdots + a^2} = \sqrt{D}a
\end{eqnarray}
\)

したがって、頂点までの距離を側面までの距離で割った比は \(\sqrt{D}\)。

1.18 D次元の単位球の表面積と体積

§1 D次元の単位球の表面積

ガウス分布の正規化

\(I=\int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2}dx \) の 値を求めるために \(I^2\) を考える。
1-7-ガウス分布の規格化条件」と同じ問題なので、詳細は省略。

\(
\begin{eqnarray}
I^2 &=& \int\int e^{-x^2+y^2}dxdy \\
&=& 2\int_0^{2\pi}\int_0^\infty re^{-r^2}drd\theta \\
&=& 2\pi \int_0^\infty re^{-r^2}dr \\
&=& \pi
\end{eqnarray}
\)

したがって、\(I=\sqrt{\pi}\)。

ガンマ関数の座標変換

まず、ガンマ関数 \(\Gamma(x) = \int_0^\infty u^{x-1}e^{-u}du \) を考える。
\(u=r^2\) としてガンマ関数を座標変換する。
\({\rm d}u = 2r{\rm d}r\) であることに注意。

\(
\begin{eqnarray}
\Gamma(x) &=& \int_0^{\infty} r^{2(x-1)}e^{-r^2}2r{\rm d}r \\
&=& 2\int_0^{\infty} r^{2x-1}e^{-r^2}dr
\end{eqnarray}
\)

\(2x=D\)と置き換えると、

\(
\begin{eqnarray}
\Gamma(D/2) &=& \int_0^{\infty} r^{D-1}e^{-r^2}dr
\end{eqnarray}
\)

したがって、

\(
\begin{eqnarray}
\int_0^{\infty} e^{-r^2}r^{D-1}dr &=& \frac{\Gamma(D/2)}{2}
\end{eqnarray}
\)

単位球の表面積

問題文により、

\(
\begin{eqnarray}
\prod_{i=1}^D \int_{-\infty}^{\infty} e^{-x_i^2}dx_i = S_D \int_0^\infty e^{-r^2}r^{D-1}dr
\end{eqnarray}
\)

上記の2つの結果を代入すると、

\(
\begin{eqnarray}
& &\prod_{i=1}^D \sqrt{\pi} = \frac{1}{2} S_D \Gamma(D/2) \\
&\rightleftharpoons& \pi^{D/2} = \frac{1}{2} S_D \Gamma(D/2) \\
&\rightleftharpoons& S_D = \frac{2\pi^{D/2}}{\Gamma(D/2)}
\end{eqnarray}
\)

§2 D次元の単位球の体積

単位球の体積は単位球の表面積を半径0から1まで積分することで求められる。

\(
\begin{eqnarray}
V_D &=& \int_0^1 S_Dr^{D-1}dr
&=& S_D\int_0^1 r^{D-1}dr
&=& S_D\left[\frac{1}{D}r^D\right]_0^1
&=& \frac{S_D}{D}
\end{eqnarray}
\)

§3 2次元と3次元の単位球

2次元

\(D=2\)の場合を考える。表面積は、

\(
\begin{eqnarray}
S_2 = \frac{2\pi^{2/2}}{\Gamma(2/2)} = \frac{2\pi}{\Gamma(1)} = 2\pi
\end{eqnarray}
\)

体積は、

\(
\begin{eqnarray}
V_2 = \frac{S_2}{2}r^2 = \frac{2\pi}{2}r^2 = \pi r^2
\end{eqnarray}
\)

3次元

\(D=3\)の場合を考える。表面積は、

\(
\begin{eqnarray}
S_3 = \frac{2\pi^{3/2}}{\Gamma(3/2)} = \frac{2\pi^3/2}{\Gamma(\frac{3}{2})} = 4\pi
\end{eqnarray}
\)

体積は、

\(
\begin{eqnarray}
V_3 = \frac{S_3}{3}r^3 = \frac{4\pi}{3}r^3 = \frac{4}{3}\pi r^3
\end{eqnarray}
\)

1.17 ガンマ関数の関係式

ガンマ関数は以下の式で定義される。

\(
\begin{eqnarray}
\Gamma(x) \equiv \int_0^{\infty} u^{x-1}e^{-u}du
\end{eqnarray}
\)

部分積分を使って、\(\Gamma(x+1)=x\Gamma(x)\) を証明する。
部分積分とは、

\(
\begin{eqnarray}
\int f’(x)g(x)dx = f(x)g(x) – \int f(x)g’(x)dx
\end{eqnarray}
\)

なので、\(f(u) = e^{-u}, g(u)=u^{x-1}\) とすると、\(f’(u) = -e^{-u}, g’(u)=(x-1)u^{x-2}\)。

\(
\begin{eqnarray}
& & \int_0^{\infty} f’(u)g(u)du = \left[f(u)g(u)\right]_0^{\infty} – \int_0^{\infty} f(u)g’(u)du \\
&\rightleftharpoons& \int_0^{\infty} -e^{-u}u^{x-1}du = \left[e^{-u}u^{x-1}\right]_0^{\infty} – \int_0^{\infty} e^{-u}(x-1)u^{x-2}du \\
&\rightleftharpoons& -\int_0^{\infty}e^{-u}u^{x-1}du = -(x-1)\int_0^{\infty} e^{-u}u^{x-2}du \\
\\
&\rightleftharpoons& \Gamma(x) = (x-1)\Gamma(x-1)
\end{eqnarray}
\)

したがって、\(\Gamma(x+1) = x\Gamma(x)\) である。

\(
\begin{eqnarray}
\Gamma(1) = \int_0^\infty e^{-u}du = \left[-e^{-u}\right]_0^\infty = 1
\end{eqnarray}
\)

また、\(\Gamma(x+1) = x\Gamma(x) = x(x-1)\Gamma(x-1) = \cdots \) なので、\(\Gamma(x+1) = x!\)

1.16 多項式の独立パラメータの総数

今度はD次元多項式のM次までの独立パラメータの総数の問題。
D次元多項式とはD個の変数、すなわち \({\bf x} = (x_1, x_2, \cdots, x_D)^T\) があるということ。
M次とはD個の変数からM個を掛け合わせるということ。

1-15 多項式の独立パラメータの数」からM次における独立なパラーメーターの数は \(n(D,M)\) と表される。したがって、

\(
\begin{eqnarray}
N(D,M) &=& n(D,0)+n(D,1)+\cdots+n(D,M) \\
&=& \sum_{m=0}^{M}n(D,m)
\end{eqnarray}
\)

次に \(N(D,M)=\frac{(D+M)!}{D!M!}\) を数学的帰納法により証明する。
まず\(M=0\)の場合を考える。
1-15 多項式の独立パラメータの数」から \(n(D,M) = \frac{(D+M-1)!}{(D-1)!M!}\) であるので、左辺は、

\(
\begin{eqnarray}
N(D,0) &=& n(D,0) \\
&=& \frac{(D-1)!}{(D-1)!0!} \\
&=& 1
\end{eqnarray}
\)

となる。右辺は、

\(
\begin{eqnarray}
\frac{0!}{D!0!} &=& 1
\end{eqnarray}
\)

したがって、\(M=0\)で成立する。
M次元で成立すると仮定して、\(M+1\)次元を考える。

\(
\begin{eqnarray}
N(D,M+1) &=& N(D,M)+n(D,M+1) \\
&=& \frac{(D+M)!}{D!M!} + \frac{(D+M)!}{(D-1)!(M+1)!} \\
&=& (D+M)! \times \frac{M+1+D}{D!(M+1)!} \\
&=& \frac{(D+M+1)!}{D!(M+1)!}
\end{eqnarray}
\)

したがって、\(M+1\)でも成立することが証明された。

n が大きいとき \(n! \simeq n^ne^{-n}\) が成立する。
\(D \gg M \) のとき、当然 \(D! \gg M!\)であるため、分母の \(M!\) は無視できる。
\(
\begin{eqnarray}
(D+M)! \simeq (D+M)^{D+M}e^{-(D+M)} \simeq D^{D+M}e^{-D}
\end{eqnarray}
\)

とできるので、

\(
\begin{eqnarray}
N(D,M) &=& \frac{(D+M)!}{D!M!} \\
&\simeq& \frac{D^{D+M}e^{-D}}{D^De^{-D}} \\
&=& D^M
\end{eqnarray}
\)

同様に \(D \ll M \) の場合は、\(M^D\) となる。

\(D=10, M=3\) の場合、

\(
\begin{eqnarray}
N(10,3) &=& \frac{13!}{10!3!} = \frac{13\times12\times11}{3\times 2} = 286
\end{eqnarray}
\)

\(D=100, M=3\) の場合、

\(
\begin{eqnarray}
N(100,3) &=& \frac{103!}{100!3!} = \frac{103\times102\times101}{3\times 2} = 176851
\end{eqnarray}
\)

1.15 多項式の独立パラメータの数

D次元の多項式のM次の項、すなわち \({\bf x} = (x_1, x_2, \cdots, x_D)^T\)という縦ベクトルのD個の要素からM個を重複して選んで掛け合わせるという話です。
重複してというのがポイントです。

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i_1=1}^D\sum_{i_2=1}^D\cdots\sum_{i_M=1}^D w_{i_1i_2\cdots i_M}x_{i_1}x_{i_2}\cdots x_{i_M}
\end{eqnarray}
\)

式にすると相当分かりづらいですが、2次元の3次の項を例にすると、

\(
\begin{eqnarray}
&&\sum_{i_1=1}^2\sum_{i_2=1}^2\sum_{i_3=1}^2 w_{i_1i_2i_3}x_{i_1}x_{i_2}x_{i_3} \\
&=& w_{111}x_1x_1x_1+w_{112}x_1x_1x_2+w_{121}x_1x_2x_1+w_{122}x_1x_2x_2 \\
& & +w_{211}x_2x_1x_1+w_{212}x_2x_1x_2+w_{221}x_2x_2x_1+w_{222}x_2x_2x_2 \\
&=& w_{111}x_1^3+(w_{112}+w_{121}+w_{211})x_1^2x_2+(w_{122}+w_{212}+w_{221})x_1x_2^2+w_{222}x_2^3
\end{eqnarray}
\)

\(x_1^2x_2\)と\(x_1x_2^2\)の項がまとめられるので、もともと\(2^3=8\)項あったものが4項にまとめられる。
D次元のM次の多項式も同様で、

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i_1=1}^D\sum_{i_2=1}^{i_1}\cdots\sum_{i_M=1}^{i_{M-1}} \tilde{w}_{i_1i_2\cdots i_M}x_{i_1}x_{i_2}\cdots x_{i_M}
\end{eqnarray}
\)

とまとめられる。
独立なパラメータの数は、

\(
\begin{eqnarray}
n(D,M)=\sum_{i_1=1}^D{\color{red}{\sum_{i_2=1}^{i_1}\cdots\sum_{i_{M-1}=1}^{i_{M-2}}\sum_{i_M=1}^{i_{M-1}}}}1
\end{eqnarray}
\)

で求められるが、上の式の赤字の部分に注目すると、

\(
\begin{eqnarray}
n(D,M)=\sum_{i_1=1}^D n(i_1,M-1)
\end{eqnarray}
\)

であることが分かる。\(i_1\)を\(i\)に変更して書き直すと、

\(
\begin{eqnarray}
n(D,M)=\sum_{i=1}^D n(i,M-1)
\end{eqnarray}
\)

次に、

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i=1}^D \frac{(i+M-2)!}{(i-1)!(M-1)!} = \frac{(D+M-1)!}{(D-1)!M!}
\end{eqnarray}
\)

を数学的帰納法により証明する。
まず、\(D=1\) の場合、左辺は、

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i=1}^1 \frac{(i+M-2)!}{(i-1)!(M-1)!} = \frac{(M-1)!}{0!(M-1)!} = 1
\end{eqnarray}
\)

右辺に\(D=1\)を代入すると

\(
\begin{eqnarray}
\frac{(D+M-1)!}{(D-1)!M!} = \frac{M!}{0!M!} = 1
\end{eqnarray}
\)

したがって、\(D=1\) で成立する。
D次元で成立するとすると、D+1次元の場合、

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i=1}^{D+1} \frac{(i+M-2)!}{(i-1)!(M-1)!} &=& \frac{(D+1+M-2)!}{(D+1-1)!(M-1)!} +
\sum_{i=1}^D \frac{(i+M-2)!}{(i-1)!(M-1)!} \\
&=& \frac{(D+M-1)!}{D!(M-1)!} + \frac{(D+M-1)!}{(D-1)!M!} \\
&=& \frac{M(D+M-1)!+D(D+M-1)!}{D!M!} \\
&=& \frac{(D+M)(D+M-1)!}{D!M!} \\
&=& \frac{(D+M)!}{D!M!}
\end{eqnarray}
\)

となり、D+1次元でも成立することが分かる。

最後に

\(
\begin{eqnarray}
n(D,M) = \frac{(D+M-1)!}{(D-1)!M!}
\end{eqnarray}
\)

を数学的帰納法により証明する。
まず、M=2の場合、

\(
\begin{eqnarray}
n(D,2) &=& \sum_{i=1}^D n(i,1) \\
&=& n(1,1)+n(2,1)+\cdots+n(D,1) \\
&=& 1+2+\cdots+D \\
\end{eqnarray}
\)

となる。\(n(1,1)\)は1次元の1次の項、すなわち \(x_1\)しかないので1になるし、\(n(2,1)\)は2次元の1次の項、\(x_1, x_2\)の2つになる・・・とやっていくと、

\(
\begin{eqnarray}
n(D,2)
&=& 1+2+\cdots+D
&=& \frac{D(D+1)}{2}
\end{eqnarray}
\)

となる。したがって、M=2の場合は成立する。
\(M-1\)で成立すると仮定すると、

\(
\begin{eqnarray}
n(D,M-1) = \frac{(D+M-2)!}{(D-1)!(M-1)!}
\end{eqnarray}
\)

なので、

\(
\begin{eqnarray}
n(D,M) &=& \sum_{i=1}^D n(i,M-1) \\
&=& \sum_{i=1}^D \frac{(i+M-2)!}{(i-1)!(M-1)!} \\
\end{eqnarray}
\)

ここで、

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i=1}^D \frac{(i+M-2)!}{(i-1)!(M-1)!} = \frac{(D+M-1)!}{(D-1)!M!}
\end{eqnarray}
\)

はすでに証明済みであることを思い出すと、

\(
\begin{eqnarray}
n(D,M)
&=& \frac{(D+M-1)!}{(D-1)!M!}
\end{eqnarray}
\)

となり、証明できた。