1.14 正方行列の性質

まず、\(w_{ij}\)を成分とする任意の正方行列が \(w_{ij}=w_{ij}^S+w_{ij}^A\)と書けることを示す。
\(w_{ij}^S\)は対称行列、\(w_{ij}^A\)は反対称行列の成分であり、

\(
\begin{eqnarray}
w_{ij}^S = w_{ji}^S \\
w_{ij}^A = -w_{ji}^A \\
\end{eqnarray}
\)

であることに注意。\(w_{ij}=w_{ij}^S+w_{ij}^A\) で \(w_{ij}^S\) と \(w_{ij}^A\) が未知数だとすると、

\(
\begin{eqnarray}
w_{ij} &=& w_{ij}^S+w_{ij}^A \\
w_{ji} &=& w_{ji}^S+w_{ji}^A \\
&=& w_{ij}^S-w_{ji}^A
\end{eqnarray}
\)

であり、2つの等式の両辺を足すと

\(
\begin{eqnarray}
w_{ij}+w_{ji} &=& 2w_{ij}^S
\end{eqnarray}
\)

となり、

\(
\begin{eqnarray}
w_{ij}^S = \frac{w_{ij}+w_{ji}}{2} \\
w_{ij}^A = \frac{w_{ij}-w_{ji}}{2}
\end{eqnarray}
\)

とすれば良いことが分かる。
ところで対角成分 \(w_{ii}\) については、

\(
\begin{eqnarray}
\color{red}{w_{ii}^S = w_{ii}} \\
\color{red}{w_{ii}^A = 0}
\end{eqnarray}
\)

とすれば良いことに留意しておく。

つぎに \(\sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^D w_{ij}x_ix_j\)について考える。

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^D w_{ij}x_ix_j &=& \sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^D (w_{ij}^S+w_{ij}^A)x_ix_j \\
&=& \sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^D w_{ij}^Sx_ix_j+ \sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^Dw_{ij}^Ax_ix_j \\
\end{eqnarray}
\)

右辺の第2項だけに注目する。対角成分 \(w_{ii}\) 以外に関して、i を固定すると、

\(
\begin{eqnarray}
w_{\color{red}{i}j}^Ax_ix_j + w_{j\color{red}{i}}^Ax_jx_i = w_{\color{red}{i}j}^Ax_ix_j – w_{\color{red}{i}j}^Ax_ix_j = 0
\end{eqnarray}
\)

となる。また対角成分は0であるので、

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^Dw_{ij}^Ax_ix_j = 0
\end{eqnarray}
\)

であることが分かる。したがって、\(\sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^D w_{ij}x_ix_j = \sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^D w_{ij}^Sx_ix_j\) が成り立つ。
そもそも、この式は

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i=1}^D\sum_{j=1}^D w_{ij}x_ix_j = {\bf x}^T{\bf A}{\bf x} \\
ただし、{\bf x} = (x_{ij})^T
\end{eqnarray}
\)

とすることができ、いわゆる x の二次形式であることが分かる。
x の二次形式だけを考える場合、正方行列\({\bf A}\)は対称行列であるとしてしまって問題ないということが分かる。

対称行列は、2×2 では

\(
\begin{eqnarray}
\left(
\begin{array}{cc}
w_{11} & w_{12} \\
w_{21} & w_{22} \\
\end{array}
\right)=
\left(
\begin{array}{cc}
\color{red}{w_{11}} & \color{red}{w_{12}} \\
w_{12} & \color{red}{w_{22}} \\
\end{array}
\right)
\end{eqnarray}
\)

対称行列は、3×3 では

\(
\begin{eqnarray}
\left(
\begin{array}{ccc}
w_{11} & w_{12} & w_{13} \\
w_{21} & w_{22} & w_{23} \\
w_{31} & w_{32} & w_{33}
\end{array}
\right)
=
\left(
\begin{array}{ccc}
\color{red}{w_{11}} & \color{red}{w_{12}} & \color{red}{w_{13}}\\
w_{12} & \color{red}{w_{22}} & \color{red}{w_{23}} \\
w_{13} & w_{23} & \color{red}{w_{33}}
\end{array}
\right)
\end{eqnarray}
\)

と赤字の要素は独自に選べる。
したがって、DxD の対称行列の独立パラーメータ数は、

\(
\begin{eqnarray}
\sum_{i=1}^D i = \frac{D(D+1)}{2}
\end{eqnarray}
\)

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